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日本の気候テックスタートアップ投資、25年は950億円。エネルギー・EVインフラが牽引

2025年の日本の気候テック市場は、資金調達件数が横ばい(前年比+3%)となる一方で、投資総額は950億円(前年比+12%)と回復を見せました。初期段階の慎重な姿勢とは対照的に、特定の分野のスタートアップへの「集中投資」が進んでいます。

Source: Climate Tech Japan's Deal Tracker

📊 主要ハイライト(2025年実績)

  • 投資総額: 950億円(2024年の851.4億円から12%増)。
  • 取引件数: 96件。2023年のピーク(118件)からは減少しているものの、1件あたりの投資規模が拡大しています。
  • 成長ステージ: Series Dや大型のSeries Bを含む「成長・後期ステージ」が投資総額の大部分を占め、分野と技術によっては市場が実証フェーズから実装フェーズへ移行していることを示唆しています。また、IPOや市場内のM&Aのケースも見られました。

1. 市場全体の推移

投資件数は2023年をピークに落ち着きを見せていますが、1件あたりの投資規模は拡大傾向にあります。

  • 2023年: 990億円 / 118件
  • 2024年: 851.4億円 / 93件
  • 2025年: 950億円 / 96件

2. 分野別分析:2025年の投資トレンド

2025年は、交通、電力システムの脱炭素化が加速した年となりました。

  1. 交通・輸送の脱炭素化 (319.3億円): EV充電インフラの全国展開や自動運転技術が市場を牽引し、最大規模のセクターとなりました。
  2. 電力システムの脱炭素化 (309.1億円): 蓄電池、次世代送電など、エネルギー需給の最適化に巨額の資本が投じられています。
  3. 食料・飲料の脱炭素化 (126.6億円): 代替肉や農業テックなど、生活に直結する領域が安定した人気を維持しています。
  4. Climate Fintech / Data (76.6億円): 排出量の可視化や金融スキームの構築を行うソフトウェア分野も、実用フェーズに入っています。
Source: Climate Tech Japan's Deal Tracker

2025年は、Series Aが件数・金額ともに市場の土台を支える一方で、件数は少ないものの1件あたりの規模が大きい「Growth/Late」ステージが総額を押し上げました。

Source: Climate Tech Japan's Deal Tracker

3. 投資家

2025年の日本の気候テック市場は、投資総額の回復とともに、投資家層の厚みが一段と増した年となりました。2025年に投資に参加したユニークな投資家数は216社に達し、2023年(193社)や2024年(190社)と比較して増加しています。これは、既存の特化型VCやメガバンク系VCに加え、事業会社や地域金融機関、さらには官民ファンドなどの多様なプレイヤーが気候テック領域に参入されていることを示しています。

2025年 気候テック投資家実績ランキング

順位 投資家名 2025年 投資件数 主な投資先スタートアップ(2025年)
1 みずほキャピタル 12 Terra Charge(充電インフラ), Sharing Energy(分散電源), エイターリンク(ワイヤレス給電), Chitose Bio Evolution(炭素回収), Ener Bank(電力取引), CLAS(循環型家具)
2 三菱UFJキャピタル 10 Power X(蓄電池), Nabla Mobility(航空最適化), Girasol Energy(再エネ管理), Phytolipid Technologies(代替脂質), Umami United(植物性卵)
3 環境エネルギー投資(EEI) 9 T2(自動運転トラック), Clean Energy Connect(再エネ導入), エイターリンク(ワイヤレス給電), KG Motors(小型EV), Faeger(農業クレジット)
4 SMBCベンチャーキャピタル 8 DigitalArchi(建築3Dプリンタ), Umami United(植物性卵), 森未来(木材流通), SIRC(電流センサ), Phytolipid Technologies(代替脂質)
5 慶應イノベーション・イニシアティブ(KII) 7 Helical Fusion(核融合), エイターリンク(ワイヤレス給電), DigitalArchi(低炭素コンクリート), Fermelanta(微生物生産), Linea Innovation(電力変換)
6 スパークス・アセット・マネジメント 6 WeCharge(EV充電), エイターリンク(ワイヤレス給電), Space Cool(放射冷却素材), Bywill(クレジット創出), Morus(バイオ素材)
7 インキュベイトファンド 6 eMotion Fleet(EV導入支援), Carbon CryoCapture(炭素回収), Nabla Mobility(航空運航DX), pHydrogen(水素製造), Faeger(脱炭素農業)
8 脱炭素化支援機構(JICN) 6 Towing(循環型農業), Girasol Energy(再エネ資産管理), EF Polymer(超吸水性ポリマー), ライナフ(スマートロック), Bywill(地域環境支援)
9 三井住友海上キャピタル 4 T2(自動運転トラック), Sakana Dream(水産バイオ), Space Cool(放射冷却素材), DigitalArchi(低炭素建築)
10 ジェネシア・ベンチャーズ 4 Umami United(植物性卵), MiRESSO(ベリリウム精製), Nano Frontier(熱電発電), Kinish(代替卵)

Source: Climate Tech Japan's Deal Tracker。公開PRなどより。詳細はDeal Trackerをご覧ください。

  • 投資の質の変化: 2023年の「数(118件)」のシード投資から、特にSeries AとBの合計が440億円を超え、事業化の目処が立った企業への資金供給が加速しています。
  • エネルギー・交通への集中: 投資総額の約65%が「交通・輸送」と「電力システム」の2分野に集中。EVインフラとグリッドテックが2025年の主役となりました。
  • 多様な資本の流入: ユニーク投資家数が過去最高の216社に達したことは、気候テックがもはや特定のVCだけでなく、日本の金融・産業界全体の重要テーマになったことを象徴しています。

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📰今週のニュース

🧻中部電力による浜岡原子力発電所の安全審査における不適切な地震評価を巡り、原子力規制委員会はこれまでの審査を白紙とする方針だと日本経済新聞が報じています。規制委の山中委員長は中部電力を激しく非難、本店への立ち入り検査も実施される予定です。

📢米メタ・プラットフォームズは、自社のデータセンター向けに、最大6ギガワット超となる複数の電力購入契約を結んだと発表しました。この契約により、メタは巨大テック企業の中でも最大の原子力電源購入者となります。

⚡ユーラシア・グループが年初に発表した2026年の10大リスクで、中国の「電気国家」としての躍進と、アメリカの「石油国家」への逆行が指摘されています。中国が21世紀のインフラの提供元になることによって手にする世界各国への影響力と商業的利益の増加、さらにはAI競争での優位を確保する可能性が指摘されています。

🌎アメリカは国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や緑の気候基金(GCF)他、66もの国際機関から脱退すると表明。国際機関・各国の非難を受けつつも、アメリカの多国間の枠組みを無視し、国益を追求する動きが強まっています。


⇧ファンド設立・買収・IPO

💰️Spiral Capital Japan Fund 3号ファンド:Spiral Capitalは、「Spiral Capital Japan Fund 3号投資事業有限責任組合(3号ファンド)」のファイナルクローズを総額150億円超で完了したと発表しました。AI・スマートインフラ・フィンテック・ヘルスケアの4分野を中心に、シード・アーリーステージが主な投資対象となる予定とのことです。

💰️韓日済州スタートアップファンド:Seven Star Partnersは、、「スタートアップコリア・韓日済州スタートアップファンド」の組成を総額101億ウォンで完了したと発表しました。投資対象は日韓の「10大超格差分野(システム半導体、バイオ・ヘルス、未来モビリティ、エコ・エネルギー、ロボット、AI・ビッグデータ、次世代型原発、サイバーセキュリティ・ネットワーク、宇宙航空・海洋、量子技術) 」におけるスタートアップになるとのことです。

💰️マラトン2号投資事業有限責任組合:マラトンキャピタルパートナーズは、「マラトン2号投資事業有限責任組合(マラトン2号ファンド)」を350億円でファイナルクローズしたと発表しました。事業承継問題や人手不足等による経営資源の不足といった課題を抱える国内中小企業、特にスモールキャップ及びマイクロキャップの企業が主な投資対象になるとのことです。


以上、Climate Techに関する情報をご紹介しました。

Climate Techに関する新しいアイデアや、イベント、関心/興味のあるトピックがあれば、ぜひClimate Tech Japanにまでお寄せください。


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